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2006.07.20

蒼鷺

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All photos by Chishima,J.
月とアオサギ 2006年5月 北海道中川郡幕別町)

 アオサギを初めて見た時のことは、今から20年以上前になるが、よく覚えている。場所は、群馬と埼玉の県境を流れる利根川。晩秋の陽光が降り注ぐ川原に20羽以上が立ち尽くしていた。一緒にいた父は、「ツルだ!」と叫んだ。私がこれはアオサギだと説明したが、「サギは白いし、第一こんなにデカいわけないだろ!」と勝手に興奮していた。当時の群馬県では、利根川や大きな湖沼以外でアオサギを見ることはあまりなかったように思う。

浅瀬のアオサギ
2006年6月 北海道網走郡大空町
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 そのアオサギは、ここ十勝ではごく少数が十勝川の中流域で越冬するが、大部分は夏鳥である。くわえて、シラサギ類やゴイサギが繁殖しないこの地で繁殖する、唯一のサギ類でもある。渡来は早く、雪の解け具合にもよるが3月中旬から下旬頃、俄かに増水し始めた川の瀬や、シャーベット状になってきた湿地に本種の姿を見つけた時の胸の高鳴りは、格別である。そんな早春の使者でいられるのも束の間。なにしろ河川や湖沼などの水辺ではいたって数の多い普通種であり、「またアオサギか」と初認時とは対照的な扱いを受けることになる。


越冬アオサギ
2006年1月 北海道河東郡音更町
民家の庭先にある、日当たりの良い斜面で休息していた。魚類をはじめとする動物性の食性をもつ本種にとって、冬期の餌の確保は大変であろう。
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巣材運び(アオサギ
2006年4月 北海道帯広市
数を増してくると繁殖行動が本格的になってくる。
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 広葉樹や針葉樹の林にコロニーを作って繁殖し、そこを訪れると求愛や交尾、巣作り、抱卵、子育てなど、その時期に応じた繁殖行動を観察できるので、それはまた新鮮である。十勝では浦幌のコロニーが規模も大きくて有名であったが、近年放棄されて姿を消してしまった。小~中規模のコロニーは各地にあり、今までなかった場所に突如コロニーが形成されることもある。今年もフィールド内の農家の裏にある、ごく小さなカラマツ林に、20~30つがいほどのコロニーがいきなりできて驚いた。帯広市内や近郊にもコロニーはあり、市内のコロニーは蕎麦屋に面しているので、私はそこで一杯飲って蕎麦を食べながら、アオサギを観察するのを楽しみとしている。もっとも、時期が遅くなると周囲の木々の葉が茂って見づらくなるのと私も忙しくなるのとで、蕎麦で呑みながらのアオサギ見物はほぼ春先のみとなっている。

カラマツ林のコロニー(アオサギ
2006年3月 北海道十勝郡浦幌町
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巣内の幼鳥(アオサギ
2006年6月 北海道中川郡幕別町
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 渡来が早い分繁殖も早く、5月に雛が出て6月末から7月には続々と巣立つ。8月にはコロニーはすでに静寂に包まれており、代わりに各地の水辺に姿を現わす。十勝ではあまり大きな群れは作らないが、道東の風蓮湖や野付半島、厚岸湖などではこの頃から時に数百羽もが集まることがある。干潮時、遠浅の干潟の所々でアオサギが狩りをしたり、逆に満潮時、僅かに残った陸地に100羽以上が集合している様は、なかなかに見応えがある。


樹上で(アオサギ
2006年6月 北海道中川郡池田町
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湿地の住人・ツーショット(アオサギタンチョウ
2006年6月 北海道十勝川下流域
一緒にいるのをよく見るが、タンチョウの機嫌が悪いと(?)攻撃されている。
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 秋の深まりとともに数を減らしてゆくが、小鳥のようにある時を境にきれいにいなくなるようなことはなく、気が付いたらいなくなっている感じである。おそらく、小規模な渡りが長期間続くのだろう。ただし、10月に道東は浜中町の海岸でキャンプした時、42羽の群れがV字編隊を組んで、東から西へ飛んでゆくのを見たことがある。夕暮れ時であったが、東の空から上り月を背後に飛んできた群れが茜色の秋の夕空に消えてゆく光景は、目頭を熱くさせるものがあった。


シラサギ2種
北海道ではシラサギ類は繁殖せず、数少ない夏鳥として渡来する程度。

チュウサギ
2006年4月 北海道十勝郡浦幌町
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ダイサギ
2006年4月 北海道中川郡豊頃町
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夕陽に照らされて(アオサギ
2006年5月 北海道中川郡豊頃町
婚姻色の終わりかけで、虹彩は赤く、目先も赤みを帯びる。
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(2006年7月20日   千嶋 淳)

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