2014.09.30

「北海道の海鳥1 ウミスズメ類①」発行のお知らせ

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 この度、NPO法人日本野鳥の会十勝支部より「北海道の海鳥1 ウミスズメ類①」を発行いたしました。


千嶋淳 著 鈴木瑞穂 イラスト NPO法人日本野鳥の会十勝支部(2013年発行) B5判 56ページ ISBN978-4-990741-10-5 定価1,050円(本体1,000円+税)

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2014.09.29

「十勝の海の動物たち」発行のお知らせ

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 帯広百年記念館ロビー展「十勝沖・海の動物たち」に合わせて、「十勝の海の動物たち」を漂着アザラシの会より発行いたしました。20ページの小冊子ながら、オールカラーで十勝で確実な記録のある海鳥58種、海獣8種を80点以上の写真を用いて紹介しています。ミズナギドリ類やウミスズメ類等、通常の図鑑類にはあまり掲載されていない種類も多く扱い、十勝・道東の海で見られる鳥・獣を幅広く俯瞰できるのが特徴です。500円(+直接お届けできない方は送料80円)で販売いたしますので、購入を希望される方は、メール(pvstejnegeri_yoidore@dance.ocn.ne.jp)またはコメント(記入の際入力したアドレスは、web上では表示されません)にて連絡いただけたら幸いです。(本冊子の作成には日本財団の助成を受けました)

2013年11月25日追記:NPO法人日本野鳥の会十勝支部Internet Shopでもお求めいただけるようになりました。新刊の「北海道の海鳥1 ウミスズメ類①」ともども、引き続きよろしくお願いいたします。

(2012年5月23日   千嶋 淳)

2014.07.23

海鳥を読む⑧「Seabirds An Identification Guide」

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NPO法人日本野鳥の会十勝支部報「十勝野鳥だより184号」(2014年3月発行)掲載記事「海鳥を読む」を分割して掲載)


「Seabirds An Identification Guide」(Peter Harrison著、233×150mm、448ページ、Christopher Helm、1983年)
 それまでも何冊か海鳥のフィールドガイドは存在したが、各種について複数のイラストと詳細な解説を伴う本格的なものは本書が初めてだったのではないだろうか。1980年代は、国内では「フィールドガイド日本の野鳥」が生まれ、海外ではシギ類やカモ類の本格的な図鑑が出版されるなど、子供心にも野鳥業界が変わりつつあるのを感じられた。30年の時を経て古くなった情報もあるし、とかくイラストに目が行きがちだが、生態や行動、分布を記したテキストを読んでいると今でもほぉと思わされることがあり、流石は世界中の海で観察して来たHarrison氏だと感心させられる。同氏は1987年に「Seabirds of the World A Photographic Guide」(317ページ、Christopher Helm)も出しており、当時撮影の難しかった海鳥の写真を、不鮮明なものはあるにせよ、よくこれだけ集めたものだと思ったものだ。サイズもフィールド向けで、釧路航路や三宅島航路に持ち込んでは目の前の鳥と比較した。海鳥の写真図鑑としては、「Photographic Handbook Seabirds of the World」(234ページ、Jim Enticott and David Tipling著、New Holland、1997年)が割と新しく、大サイズの写真で世界中の種類を俯瞰できる。ただ、惜しいことに1点だけ掲載されているカンムリウミスズメの写真はウミスズメである。


(2014年3月   千嶋 淳)

2014.07.22

海鳥を読む⑦「極東の鳥類27 海鳥特集」

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NPO法人日本野鳥の会十勝支部報「十勝野鳥だより184号」(2014年3月発行)掲載記事「海鳥を読む」を分割して掲載)


「極東の鳥類27 海鳥特集」(藤巻裕蔵編訳、B5版、123ページ、極東鳥類研究会、2010年)
 「極東の鳥類」は藤巻氏がロシア語文献を翻訳した論文集で、北海道で鳥に関わる者にはたいへんありがたいシリーズだ。海鳥特集の本書には12編の論文が収められているが、中でも圧巻は半分近くを占める、Shuntov氏による「ロシア極東海域の鳥類2~ミズナギドリ科~」である。ミズナギドリ科各種についての自らの季節ごとの洋上分布データに加え、繁殖生態などに関する国内外の文献のレビューは秀逸の一言に尽きる。マダラシロハラミズナギドリがカムチャツカから千島列島南岸に飛来することや、アカアシミズナギドリが日本海からオホーツク海を経て太平洋を南下してゆく様子を目視調査から明らかにしているのには、上掲書における小城氏の「ロシアは海鳥の研究では日本よりはるかに進んでいます」の言葉を手放しで肯定せざるを得ない。後半の「ウミスズメの繁殖生態と育雛」も、ロシアやヨーロッパの博物学の伝統を感じさせる丹念な観察に基づくもので読み応えがある。 「極東の鳥類17 海鳥類特集」(98ページ、2000年)には、やはりShuntov氏による極東におけるウミガラス類やパフィン類の現状をはじめ4編の論文が収められているほか、同シリーズでは少なからぬ海鳥のロシア語文献が紹介されている。国境を超えて自由に行き来する鳥の理解には隣国の文献情報や研究者との交流が必要不可欠であるが、北海道の鳥に関して藤巻氏以降、ロシア語を操って人や情報の交流を促進する人材が現れていないのは残念である。


(2014年3月   千嶋 淳)

2014.07.20

140719 十勝沖海鳥・海獣調査

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All Photos by Chishima, J.
エトピリカの若鳥 以下すべて 2014年7月 北海道十勝沖)

 午前6時前に集合した漁港は深い霧に閉ざされていました。夜明け前まではなかったという乳白のベールが、50m先の岸壁を覆い隠します。船頭さんが仲間の船に確認を取ってくれたところ、沖合も同様の状況とのこと。さすがにこれでは何も見えないので、しばし待機。1時間近く待って、岸壁やその先の防波堤は見えるくらいに視界が回復してきたところで、珍しく定員いっぱいの13名を乗せた船は沖を目指します。所々で視界200mを切る濃霧や突然の降雨に悩まされましたが、海自体は穏やかで気温も高めだったため、5時間近い航海は比較的快適に過ごすことができました。

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2014.07.18

海鳥を読む⑥「野鳥の記録 東京~釧路航路の30年」

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NPO法人日本野鳥の会十勝支部報「十勝野鳥だより184号」(2014年3月発行)掲載記事「海鳥を読む」を分割・加筆修正して掲載)


「野鳥の記録 東京~釧路航路の30年」(宇山大樹著、A4版、255ページ、自費出版、2012年)
 かつて東京と釧路を結ぶフェリー航路があり、襟裳岬沖や釧路沖で多くの海鳥が観察できてバードウオッチャーの人気も高かったが、1999年に廃止されてしまった。その釧路航路での、1969年以降30年に渡る観察記録を纏めたのが本書だ。特に1997~1999年には毎月乗船して鳥の数を数え、それらが生データも含め掲載されている。モリムシクイ、アカマシコなど珍しい陸鳥も含む160種が記録され、海水温の高い年に十勝沖でアオツラカツオドリが観察された、エトロフウミスズメは十勝港~襟裳岬沖間で数が多いなど、興味深いデータは枚挙に暇がない。ウミスズメやカンムリウミスズメの家族群の観察例、陸鳥を含む海上の渡り、飛行速度などに関する記述もあり、資料性はきわめて高い。宇山氏には「野鳥の記録 与那国島」(223ページ、文一総合出版、2011年)の著書と、その基となった幾つかのレポートがあり、この3月には「野鳥の記録 東京~小笠原航路の32年」(170ページ、自費出版、2014年)も出版された。硫黄列島クルーズも含む同書はカツオドリ類やネッタイチョウ類といった、いかにも南の海鳥はもちろん多様なシロハラミズナギドリ類の出没する海域の貴重な記録である。北日本から南西諸島、小笠原航路と観察記録を続々発表されている著者であるが、この手の観察記録はバードウオッチャーであれば多かれ少なかれ持っているはずで、こうして世に出すことによって後世へ繋がることを期待したい。海鳥の観察記録としては、♪鳥くんによる2008~2010年の銚子沖のイルカウオッチング船での一連のレポート(Hobby’s Worldなどで購入可能)も、アシナガウミツバメやクロウミツバメなどのウミツバメ類の識別や生態が詳細に言及されており、興味深い。2010年のレポートにあるマダラウミスズメは、カンムリウミスズメではないだろうか。


(2014年3月   千嶋 淳)

2014.07.17

海鳥を読む⑤「アビ鳥を知っていますか‐人と鳥の文化動物学」

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NPO法人日本野鳥の会十勝支部報「十勝野鳥だより184号」(2014年3月発行)掲載記事「海鳥を読む」を分割して掲載)

「アビ鳥を知っていますか‐人と鳥の文化動物学」(百瀬淳子著、4-6版、268ページ、福村出版、2011年)
 アビ類は、日本では冬に海上で地味な冬羽や幼鳥を観察することが多く、バードウオッチャーにも馴染みの深い鳥とはいえない。しかし、繁殖地の極北では夏羽の派手な羽衣と物憂げな鳴き声のせいか、霊的な存在として崇める地域も少なくない。そして日本にもかつて、越冬に訪れるアビ類と人間との共生関係が確かに存在した。そんなアビ類と人間との関係を追及したのが本書である。アビ類と人間の文化的な繋がりにくわえて、生物学的な側面や豊富な海外経験を伴う著者の活動記録なども含まれ、読後にはアビ類が今までより身近な存在として感じられることだろう。著者には、前作ともいえる「アビ鳥と人の文化誌」(273ページ、信山社、1995年)や北欧での鳥たちとの出会いを綴った「白夜の国の野鳥たち‐フィンランドを歩いた日々」(220ページ、同成社、1990年)の著作もある。


(2014年3月   千嶋 淳)

2014.07.16

海鳥を読む④「エトピリカ」

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NPO法人日本野鳥の会十勝支部報「十勝野鳥だより184号」(2014年3月発行)掲載記事「海鳥を読む」を分割して掲載)


「エトピリカ」(片岡義廣著、A5版、94ページ、北海道新聞社、1998年)
 著者の片岡氏はエトピリカをはじめとする海鳥に惚れ込んで、霧多布に宿を構えて30年近くになる。その氏による霧多布のエトピリカの観察記録が、多くのカラー写真とともに紹介される。ディスプレイやヒナへの給餌についての詳細な記述もあり、エトピリカの繁殖生態を日本語で読める唯一の本だ。複数つがいが繁殖していたピリカ岩での絶滅といった、絶滅危惧種ならではの場面もある。ピリカ岩の絶滅後も繁殖していた小島も数年前から繁殖が途絶え、霧多布のエトピリカは厳しい状況が続いている。外国からのヒナ再導入も含めた、保護増殖のための議論が重ねられている。海鳥の個々の種を扱った書籍は多くないが、ウミスズメ類では「オロロン鳥 北のペンギン物語」(184ページ、寺沢孝毅著、丸善、1993年)があり、本州以南のオオミズナギドリやアホウドリにもいくつかの本がある。南半球のペンギン類については翻訳も含めて多く出版されており、国内で繁殖するウミスズメ類やアホウドリ類よりも多いのは皮肉な話である。


(2014年3月   千嶋 淳)

2014.07.15

海鳥を読む③「海鳥についてもっと知ろう」

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NPO法人日本野鳥の会十勝支部報「十勝野鳥だより184号」(2014年3月発行)掲載記事「海鳥を読む」を分割して掲載)


「海鳥についてもっと知ろう」(小城春雄著、B5版、38ページ、社団法人海と渚環境美化推進機構、2008年)
 普及・教育用に作成された冊子で非売品。筆者も何かのシンポジウムの際に著者から頂いた。図書館等にもあまりないので、手にできる機会は少ない。しかし内容は素晴らしい。海鳥が海鳥たる特徴の後に渡りや食性、プラスチック汚染や漁網による混獲といったテーマが、優しい語り口と豊富な写真、イラストで解説され、最終章では保全についての持論が展開される。1時間もかからずに読み切れるボリュームながら、著者曰く「海洋国の日本人としてどうしてもこれだけは知っていて欲しい、海鳥についての知識」が身に付く内容となっている。北洋を舞台に、「ラストパイオニアフィールド」と呼ばれた外洋性海鳥の生態解明に人生を捧げた著者の経験や思想を加筆した上で、広く流通する書籍として出版すれば海鳥の教科書的存在となることは間違いないし、それが無理ならせめてインターネット上で公開して欲しい。34ページの「コバシウミスズメ」の写真はウミスズメ幼鳥で、同ページの記述も誤りと思われる。この本や上の綿貫氏の著作が出る前は、海鳥の生物学全般について日本語で読めるのは、「オーシャンバード 海鳥の世界」(240ページ、ラース・レフグレン著、旺文社、1985年)くらいであった。スウェーデンで出版されたものの翻訳で、30年近くを経て内容の古さは否めないが、世界中の海鳥がカラー写真で紹介された大判のページは繰っているだけで楽しい。


(2014年3月   千嶋 淳)

2014.07.13

海鳥を読む②「海鳥の行動と生態-その海洋生活への適応」

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NPO法人日本野鳥の会十勝支部報「十勝野鳥だより184号」(2014年3月発行)掲載記事「海鳥を読む」を分割して掲載)

「海鳥の行動と生態-その海洋生活への適応」(綿貫豊著、A5版、317ページ、生物研究社、2010年)
 海鳥を観察・識別するだけでは物足りなくなり、広い海でどんな暮らしをしているのか知りたくなったら読みたい本。日本初の海鳥の専門書で、起源から飛行、潜水、海上での分布や餌の探し方、生活史や人間とのかかわりまで幅広い分野が網羅されている。600近い文献を渉猟しただけでなく、著者自身の研究成果も随所に盛り込まれており、またバイオロギング(生物に記録計を装着して行動を調べる学問)にもとづく潜水や採餌行動に多くの紙面が割かれているのは、黎明期からその分野の第一線で活躍してきた著者ならではといえる。専門書ではあるが文章は比較的平易で研究の裏話的なコラムも散りばめられ、すらすら読める。クロアシアホウドリやハシブトウミガラスなど、十勝沖で馴染みの深い海鳥も多く登場する。同じ著者による「ペンギンはなぜ飛ばないのか―海を選んだ鳥たちの姿」(127ページ、恒星社厚生閣、2013年)は、翼の形と潜水行動を軸に海鳥の行動を解説しており、文章もより平易で手軽に読むことができる。


(2014年3月   千嶋 淳)

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